あなたは大学広報の人ですか?丸パクリ志望理由に対する指導法
引き続き、志望理由の書き方のお話です。
前回、
大学ならどこでもいーやと思っている学生は、「この大学は、特に特徴がない」と言って、大学のホームページやパンフレットに書いてあることを丸写ししてくる
と書きました。(↑引用という機能を初めて使った( ´艸`))
(↑おお、過去記事の引用という機能を初(以下略))
もちろん、志望理由を書くことの意義が分かっていない学生も、とりあえずコピーしてくることはよくあります。
それでは、なぜHPやパンフレットを丸写ししてはいけないのでしょうか。
あなたは大学広報マンですか?
そもそもホームページやパンフレットは、大学側が発信しているものです。
それを受験生に我が物顔で解説されたところで、面接官からしたら苦笑い物です。
いうなれば、相手がしてくれた面白い話を、数日後その相手に「ねぇねぇ、この話知ってる?」と自慢げに語るようなものです。
かなり恥ずかしい!!
私が指導した留学生たちの初期の志望理由も、ほぼパクった大学説明に終始していました。
HPやパンフレットの内容を使ってはいけないの?
前回と今回の記事で想定しているのは、オープンキャンパスにも参加していないような学生です。
自分の目と耳で見聞きしたネタがない以上、HPやパンフレットに書かれている内容を使わないことには話になりません。
しかし、丸パクリでは大学の広報マンになってしまうので、書き方を変える必要があります。
では、具体的にどのように書けばいいのでしょうか。
主語を「わたし」にする
もし学生が大学の特徴をいろいろ羅列していたら、こう聞きます。
たくさん大学の特徴を挙げているけれど、どれが一番すばらしいと思った?
一つか二つ、学生がよいと思ったものを挙げられれば、それが志望理由の候補になります。
カリキュラムや就職支援、研究室やゼミなど、色々挙がるかと思います。
ほかにも、
将来、一番役に立ちそうなものはどれ?
と聞いたりしました。
そして、下のような「型」に当てはめて考えていきます。
- 結論:大学のどこに魅力を感じたのか。
- 理由:どうしてそれが魅力的に感じるのか。
- 決意:入学してどう取り組み、どうなりたいと思うのか。
- まとめ:このような理由で貴校に入りたいんです!
1.結論は、定型なので下のような書き方で十分だと思います。はっきり述べられていれば、どんな書き方でもOK。
2.理由は、子どもの頃の失敗・成功体験や興味・関心、今考えている将来の希望などと結びつけて書きます。
3.決意は、「どう」の部分が大切です。ただ「がんばりたいです」じゃダメ。
【ざっくり例】
1.「私が貴校を志望したのは、貴校の~~~に魅力を感じたからです。」
2.「私は幼いころから~で/高校時代~で/将来、~したいと思って……それで……」
3.「もし貴校に入学できたなら、~~~に積極的に取り組み、~~な人間になりたい…」
4.「以上の理由で、私は貴校を志望しました。」
丸パクリの文章は、主語が「○○大学は」になっています。
しかし、ここまで見てきて分かるように、書き直すと主語は完全に「私」になります。
文中に書くかどうかにかかわらず、文はすべて「私」視点で書くべきです。
このキーワード、どの大学にも当てはまるんじゃね?という場合
上の型に当てはめれば、たいていのキーワードは志望理由化できると思います。
たとえ「きれいなキャンパス」であっても、「これまで国では施設も設備も劣悪な学習環境だった」、「貴校のキャンパスは他大学と比べて一番クリーンに感じ、ここで勉強したいと強く願っている」といったことが書けます。
もちろん、面接ではいろいろな質問(ツッコミ)が入るでしょう。
それに耐えて切り返せるかどうかは非常に重要です。
「キャンパス」の例でいけば、行ったことがないのにこんなことを書いていたら、やはり問題アリだと思います。
それでは、どの大学にも当てはまりそうなキーワードで書くには、どうしたらいいでしょうか。
まず、他大学の名前とキーワードで検索します。
そして、そのキーワードについて他大学がどう取り組んでいるのか調べます。
すると、意外と細かい違いが出てくるものです。
例えば、「ゼミ」なら、内容の豊富さ、開始時期、頻度、人数、などの違いが考えられます。
それを糸口に、私は貴校の取り組みのほうが好きだ、自分に合っている、という方向に論を進めていきます。
教師主導ではなく、学生主体で作っていく
大切なのは、上のような指導展開を、あくまで学生と対話して作っていくということです。
教師が丸パクリはダメだと指摘するのではなく、「これを面接官が読んだらどう感じると思う?」という話から学生に気づかせていくことが必要だと思います。
キーワードについても、「それ、面接のとき、こう聞かれると思うけど答えられるかな?」と一緒に考える姿勢で臨むと、学生が自分から「ちょっと難しそうだから、こっちにしてみよう」などと考えて、主体的に動き始めます。
冒頭で丸パクリは悪だ!みたいな感じで書きました。
しかし、「書く」こと自体は重要です。
書くことで考えが整理される上に、視覚的に指導がしやすいというメリットもあります。
まったく書き始められないという学生には、箇条書きでも、母語でもいいから、適当な紙に書いてきてもらうと、指導がしやすくなるかもしれません。
オープンキャンパスや説明会に参加するに越したことはない
ここまで、志望校に足を運んでいない学生に書かせるための「ひねり出し方」について考えてきました。
もちろん、ホームページやパンフレットの情報に加えて、オープンキャンパスや学校説明会に参加したほうが書けることの幅が広がります。
ただし、ぼーっとキャンパスを眺めたり、話を聞いても右から左だったりしたら、意味がありません。
そこで大切なのは、行く前に思っていたことや聞いていたことと比べることです。
HPで見てキャンパスがきれいそう→実際きれいだった
英語教育が充実しているらしい→先生から実際の授業について詳しく聞いたら、より興味が湧いた
こんな感じで、行く前と行った後の「変化」について語ったほうが、説得力がぐっと高まります。
本日の記事は以上です。
あくまで私が指導した際の経験ですが、参考になれば嬉しいです。
それでは、またあしたまねぎ^^