活動に「フィクション」を交えれば習得がゆっくりな学生も早い学生も楽しめる!
photo by ぱくたそ(www.pakutaso.com)
本日は初級クラスの中でも、勉強の進みの早い学生たちのクラスで授業でした。
始まって2週間が経って思うのは、
学生たちのレベルと進度が合っていない!
学生たちはもっと勉強したそうにこちらを見ている!
授業を先に進めますか? はい
→いいえ
「はい」にしたいけど、そんなこたぁ勝手にはできないわけで…。
このクラスにはまだやっとかなが読めるレベルの学生もいますから。
進度は『みんなの日本語 初級Ⅰ』の3課あたりです。
さあ、学習スピードの速い学生とゆっくりめな学生、どちらも飽きずに楽しく練習できる方法はないものか。
そう思って、探していたところ、こちらの「うそ自己紹介」の活動案を見つけて、ちょっとアレンジしてみました。
こちらの活動案は、「自分が有名人になって自己紹介する」というもの。
今回は自己紹介ではなく、「有名人を自分の友達として紹介する」ことにしました。
自分が他の人になりきって外国語で自己紹介するというのは、まだ少しハードルが高いかなと思ったからです。
そして、ただ有名人を紹介するよりも、「ともだちです」というちょっとしたホラが入ることで、クスっと笑顔で活動できるのではと思ったからです( ´艸`)
以下、簡単な流れを覚え書き。
「こちらは わたしの ともだちです」(フィクション・バージョン)
1.発表例提示(口頭):教師は有名人の写真を見せながら、その人を紹介する。
2.発表例提示(板書):紹介文の例(フォーマット)を板書する。
3.発表準備①:学習者は紹介したい有名人の写真や情報をスマホで探す。
4.発表準備②:用紙に自分の選んだ有名人の情報を書き込む。
5.練習・発表:自分で何度か発表練習をして、クラスの人とペア発表をする。
6.全体発表:数人に全体発表をしてもらう。
発表例
みなさん、こんにちは。
こちらは、ジェット・リーさんです。
わたしの ともだちです。
おくには ちゅうごくです。
55さいです。
ゆうめいな えいがの はいゆうです。
どうも ありがとうございました。
※下線部が調べて記入する部分
活動をやってみて
- 最初にフォーマットを提示することで、やっとこさの学習者はそれをマネしつつ、いま持っているだけの日本語力で発表を作れていました。
- 一方、もっといろいろ試したい学習者は、好きな有名人をチョイスして、仕事などの分からない言葉は調べたり教師に聞いたりして作れていました。
- 勉強の進みの違いに応じて、自分なりの発表を作れるところが気に入りました。
- 元々は、スマホで写真を見せながら話してもらおうと思っていたのですが、全員がイラストを描いて発表していました。意外な「お絵かき上手」がいたりして、そこでも笑顔の交流が生まれました。
ということで、やっていることはその課までの反復練習なんだけど、ちょっと「フィクション」を交えるだけで、楽しい活動ができるものなんだなと思いました。
今日の記事は以上!
明日は、中国の大学で教えていた学生たちとランチに行ってきます。
向こうの大学を卒業し、今週来日したばかりの、ピッカピカの留学生。
2年ぶりの再会、楽しみです!
それでは、またじかいしがきじま!^^
学生の名前が覚えられない!早く覚えたい!とっかかりを増やす方法3つ
ども!たいらんです。
今年度から久々に「多国籍」のクラスで教えています。
久々といっても、以前教えたクラスは、ウズベキスタンとネパールの2国籍でしたし、2か月弱しか教えていませんでした^^;
ですから、7か国以上のクラスで長く教えるのは初めてです。
すでに授業スタートから一週間。
アジアから北欧まで、いろいろな国の人が同じ日本語を学ぶ教室は毎日新鮮です。
さて、そんな多国籍クラスなんですが、一つ問題が…。
それは、
「絶望的にカタカナの名前頭に入らない問題」^^;
元々、人の名前を覚えるのが苦手な私ですが…。
今まで長いこと中国人学生を教えてきたおかげか、漢字の名前はスッと覚えられます。
ところが、今回のクラスの学生たちはみんなアルファベットの名前=表記はカタカナ。
いつもより覚えるのに苦戦しています。
多分、漢字のような「意味のとっかかり」が少ないからなんでしょうな。
とはいえ、覚えられないからといって放置しておくわけにはいきません。
名前を覚えるために実践していることを3つ紹介します。
1.ニックネームをつける
用意するもの:特になし
これは多国籍クラスだと、どこでも同じでしょうか。
私の学校では、名簿にニックネームを書く欄があります。
中にはすごく長い名前の学生もいるので、最初の授業でニックネームを教えてもらいました。
これは中国人学生クラスに教えていたときには経験しなかったことで、新鮮でした。
2.出席を取るとき座席位置をメモする
用意するもの:適当な紙とペン
名前を呼んで出席を取ったら、ささっと教案の余白とかメモ用紙とかに、名前を書き込みます。大雑把に教室での座席と同じ位置関係になるようにメモすれば、簡単な座席表の完成!
ただ、15人以上いると出欠確認が間延びする感じがしました。
3.ネームプレートを作ってもらう
用意するもの:適当な紙とマーカー
A4の紙を3つ折りか4つ折りにしておいて、学生にマーカーで名前を書いてもらいます。それを机の上に立たせて、前から見えるようにしてもらうと、指名するとき役立ちます。カタカナが書けるかどうか把握する手掛かりにもなりますね。
最初アルファベットで名前を書いていた学生は、カタカナを勉強した後、自分で名前を書き足していました。
「思い出す」と「思い起こす」の違いは何だろう?
ども、たいらんです。
本日は「思い出す」と「思い起こす」の違いを考えてみたいと思います。
まず、「思い出す」の意味は、こちらで詳しく解説されています。
「思い返す」と比較しているのですが、共通する意味は、
以前にあったことを心によみがえらせる。(同上)
で、これは「思い起こす」も同様だと思われます。
「思い出す」が、
自分から心によみがえらせようとしたのではなく、ふと心に浮かぶ場合もある(同上)
のに対して、「思い起こす」は自分で意識して記憶をよみがえらせる場合のみ使えます。
次の例では、「思い出す」と「思い起こす」のどちらがよいでしょうか。
- 例01:{思い出せば・思い起こせば}、30年前初めて日本へ来た日も大雨だった。
- 例02:きのう友達に紹介された人の名前をやっと{思い出した・思い起こした}。
いかがでしょうか。
例01は「思い起こせば」、例02は「思い出した」を使った方がしっくりきませんか?
例01では、心が長い時間を遡って、日本へ来た日のことを思い浮かべている感じがします。
一方、例02では、よみがえらせる対象が「人の名前」という単純な記号だからか、「思い起こす」と言うと、妙に大げさな印象があります。
こう考えていくと、「思い起こす」は、
「まとまった時間を遡って、物事を始まりから心によみがえらせる」
といった意味だと言えそうです。
また、「起こす」という言葉は「目を覚まさせる」や「新しく物事を始める」といった意味を持っていますね。
「思い起こす」には「掘り起こす」という言葉と、共通する語感があると感じます。
心の中に鍬を入れて、記憶を立体的に立ち上らせる感じ
なんだか味わい深いものがある言葉だと思います。
それでは、またじかいんこ!
今すぐ使える!「型」を使った「長所と短所」の書き方指導
志望理由書に書いたり、面接で聞かれたりする定番の質問「長所と短所」。
そもそも①何を測る問いなのか。
- 自分の良い所、悪い所を自覚しているか。もしくは、分析できているか。
- 面接で聞かれそうなことに対して、しっかり準備をしてきているか。
- 自分の言葉で自分のことを表現できる日本語力を備えているか。
そもそも②「長所」と「短所」とは?
[人や物の]働きに伴って見られる、よくない面。[狭義では、性格の欠点を指す]
「長所と短所」のひねり出し方
- 「長所」を箇条書きで書き出す。
- 「長所」の具体的なエピソードを書く。
- 「長所」の「弱点」を考えて書く。
- 「弱点」の具体的なエピソードを書く。
- 「弱点」を克服するために心掛けていることを書く。
1.「長所」を箇条書きで書き出す。
2.「長所」の具体的なエピソードを書く。
3.「長所」の「弱点」を考えて書く。
4.「弱点」の具体的なエピソードを書く。
5.「弱点」を克服するために心掛けていることを書く。
~~~~~~~~~~
似ているカタカナの書き分けの教え方~「シ」と「ツ」・「ン」と「ソ」・「ソ」と「リ」~
今月から新しい学校で、多国籍の学生たちに教えています。
1.「シ」と「ツ」
2.「ン」と「ソ」
3.「ソ」と「リ」
おまけ~「はらい」でカタカナらしさアップ!そして省エネ
4コマ漫画「間取り図-日本語教師の日常」
半角カタカナで無理やり入れてきやがったー!!
中国人だけのクラスなので、「浴」が出てこなかったのは意外でした。
初めて4コマ漫画を描いてみました。
4時間ぐらいかかった…。でも楽しいので、また描きます。
それでは!
あなたは大学広報の人ですか?丸パクリ志望理由に対する指導法
引き続き、志望理由の書き方のお話です。
前回、
大学ならどこでもいーやと思っている学生は、「この大学は、特に特徴がない」と言って、大学のホームページやパンフレットに書いてあることを丸写ししてくる
と書きました。(↑引用という機能を初めて使った( ´艸`))
(↑おお、過去記事の引用という機能を初(以下略))
もちろん、志望理由を書くことの意義が分かっていない学生も、とりあえずコピーしてくることはよくあります。
それでは、なぜHPやパンフレットを丸写ししてはいけないのでしょうか。
あなたは大学広報マンですか?
そもそもホームページやパンフレットは、大学側が発信しているものです。
それを受験生に我が物顔で解説されたところで、面接官からしたら苦笑い物です。
いうなれば、相手がしてくれた面白い話を、数日後その相手に「ねぇねぇ、この話知ってる?」と自慢げに語るようなものです。
かなり恥ずかしい!!
私が指導した留学生たちの初期の志望理由も、ほぼパクった大学説明に終始していました。
HPやパンフレットの内容を使ってはいけないの?
前回と今回の記事で想定しているのは、オープンキャンパスにも参加していないような学生です。
自分の目と耳で見聞きしたネタがない以上、HPやパンフレットに書かれている内容を使わないことには話になりません。
しかし、丸パクリでは大学の広報マンになってしまうので、書き方を変える必要があります。
では、具体的にどのように書けばいいのでしょうか。
主語を「わたし」にする
もし学生が大学の特徴をいろいろ羅列していたら、こう聞きます。
たくさん大学の特徴を挙げているけれど、どれが一番すばらしいと思った?
一つか二つ、学生がよいと思ったものを挙げられれば、それが志望理由の候補になります。
カリキュラムや就職支援、研究室やゼミなど、色々挙がるかと思います。
ほかにも、
将来、一番役に立ちそうなものはどれ?
と聞いたりしました。
そして、下のような「型」に当てはめて考えていきます。
- 結論:大学のどこに魅力を感じたのか。
- 理由:どうしてそれが魅力的に感じるのか。
- 決意:入学してどう取り組み、どうなりたいと思うのか。
- まとめ:このような理由で貴校に入りたいんです!
1.結論は、定型なので下のような書き方で十分だと思います。はっきり述べられていれば、どんな書き方でもOK。
2.理由は、子どもの頃の失敗・成功体験や興味・関心、今考えている将来の希望などと結びつけて書きます。
3.決意は、「どう」の部分が大切です。ただ「がんばりたいです」じゃダメ。
【ざっくり例】
1.「私が貴校を志望したのは、貴校の~~~に魅力を感じたからです。」
2.「私は幼いころから~で/高校時代~で/将来、~したいと思って……それで……」
3.「もし貴校に入学できたなら、~~~に積極的に取り組み、~~な人間になりたい…」
4.「以上の理由で、私は貴校を志望しました。」
丸パクリの文章は、主語が「○○大学は」になっています。
しかし、ここまで見てきて分かるように、書き直すと主語は完全に「私」になります。
文中に書くかどうかにかかわらず、文はすべて「私」視点で書くべきです。
このキーワード、どの大学にも当てはまるんじゃね?という場合
上の型に当てはめれば、たいていのキーワードは志望理由化できると思います。
たとえ「きれいなキャンパス」であっても、「これまで国では施設も設備も劣悪な学習環境だった」、「貴校のキャンパスは他大学と比べて一番クリーンに感じ、ここで勉強したいと強く願っている」といったことが書けます。
もちろん、面接ではいろいろな質問(ツッコミ)が入るでしょう。
それに耐えて切り返せるかどうかは非常に重要です。
「キャンパス」の例でいけば、行ったことがないのにこんなことを書いていたら、やはり問題アリだと思います。
それでは、どの大学にも当てはまりそうなキーワードで書くには、どうしたらいいでしょうか。
まず、他大学の名前とキーワードで検索します。
そして、そのキーワードについて他大学がどう取り組んでいるのか調べます。
すると、意外と細かい違いが出てくるものです。
例えば、「ゼミ」なら、内容の豊富さ、開始時期、頻度、人数、などの違いが考えられます。
それを糸口に、私は貴校の取り組みのほうが好きだ、自分に合っている、という方向に論を進めていきます。
教師主導ではなく、学生主体で作っていく
大切なのは、上のような指導展開を、あくまで学生と対話して作っていくということです。
教師が丸パクリはダメだと指摘するのではなく、「これを面接官が読んだらどう感じると思う?」という話から学生に気づかせていくことが必要だと思います。
キーワードについても、「それ、面接のとき、こう聞かれると思うけど答えられるかな?」と一緒に考える姿勢で臨むと、学生が自分から「ちょっと難しそうだから、こっちにしてみよう」などと考えて、主体的に動き始めます。
冒頭で丸パクリは悪だ!みたいな感じで書きました。
しかし、「書く」こと自体は重要です。
書くことで考えが整理される上に、視覚的に指導がしやすいというメリットもあります。
まったく書き始められないという学生には、箇条書きでも、母語でもいいから、適当な紙に書いてきてもらうと、指導がしやすくなるかもしれません。
オープンキャンパスや説明会に参加するに越したことはない
ここまで、志望校に足を運んでいない学生に書かせるための「ひねり出し方」について考えてきました。
もちろん、ホームページやパンフレットの情報に加えて、オープンキャンパスや学校説明会に参加したほうが書けることの幅が広がります。
ただし、ぼーっとキャンパスを眺めたり、話を聞いても右から左だったりしたら、意味がありません。
そこで大切なのは、行く前に思っていたことや聞いていたことと比べることです。
HPで見てキャンパスがきれいそう→実際きれいだった
英語教育が充実しているらしい→先生から実際の授業について詳しく聞いたら、より興味が湧いた
こんな感じで、行く前と行った後の「変化」について語ったほうが、説得力がぐっと高まります。
本日の記事は以上です。
あくまで私が指導した際の経験ですが、参考になれば嬉しいです。
それでは、またあしたまねぎ^^